一式工事で建設業許可を取りたい―まず何から始めればいい?

「一式工事」は、建物や土木構造物を完成させるために複数の専門工種をまとめる仕事で、元請として工程や品質、安全を統括する役割が求められます。しかし実務では『うちが一式で申請していいのか』『専任技術者の要件はどうするか』『実績はどの程度必要か』といった迷いが出やすく、そこで足踏みしてしまう会社が少なくありません。
本記事では、現場目線で迷いやすいポイントを整理し、実務的に動きやすい手順を解説します。
最初に見るべきは「自社の役割」
一式で申請すべきかどうかの最も簡単な見分け方は、自社が発注者との窓口として工事全体を取りまとめているかどうかです。
請負契約の書類や注文書、請求書を並べてみて、金銭の授受や工程調整、下請け指示といった“総括的な業務”が自社にあるなら一式の検討に値します。逆に受注のほとんどが単一工種で下請け中心であれば、まずは専門工事の許可から固める方が現実的です。ここで重要なのは書類の中身が示す実態で、書式だけ整えても内容が伴わなければ説得力に欠けます。
専任技術者――証明できる実績を作ること
一式工事は管理監督の色合いが強いため、専任技術者の要件が高めに設定されています。
国家資格を持つ人材がいれば話は早いですが、多くの中小事業者は「実務経験」で要件を満たします。実務経験を証明する際には、契約書や工程表、指示書、現場写真などを案件単位で紐づけて示すことが大切です。写真一枚でも「指示→施工→確認」の流れが分かる並びにしておくと、審査側に現場での統括実態を伝えやすくなります。
申請戦略は段階的に組み立てる
無理に一気に一式や特定許可を狙うのではなく、まずは専門工事で運用の型を作るのが確実です。
専門工事で実績と書類の整理ルールを固め、そこから徐々に元請比率を高めつつ、一式の申請に向けて専任技術者の配置や社内体制(就業規則、社会保険、給与台帳など)を整えるとスムーズです。特に資料の保存と整理は後で大きな差になります。過去案件の台帳や工程表、議事録、写真をクラウドで整理し、案件ごとに「何を自社で管理したか」が一目で分かる状態にしておきましょう。
よくあるつまずきとその回避
よく見られるのは「下請け中心の実績を一式の実績と混同してしまう」「書類は揃っているが内容の整合性が取れていない」「担当者の交代で資料が散逸する」といったケースです。これらは日常の業務フローを少し見直すだけで避けられます。下請けに出す際の指示書や打ち合わせの議事録を必ず保存する、工程表の改訂履歴を残す、といった小さな習慣が申請時に大きな説得力を生みます。
コツコツと、実態を積み上げる
一式工事の許可は受注の幅を広げますが、その分だけ「実態」と「証拠書類」の整合性が求められます。
まずは自社が本当に工事全体を統括しているのかを契約書類で確認し、専任技術者の実務証明になる資料を案件ごとに整理してみることをおすすめします。無理に一式へ飛びつくより、専門工事から段階的に体制を整える方が結果的に近道です。
参考ブログ:「建築一式工事と大工工事の範囲・許可の違いを解説します」

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