建築一式工事と大工工事の範囲・許可の違いを解説します

建設業界でよく使われる「建築一式工事」と「大工工事」。どちらも建物の施工に関わる工事ですが、建設業法上では明確に区別されています。

建物に関わる工事という点では共通していますが、請負範囲や必要な資格などに違いがあり、許可の取得条件や現場での対応に影響します。今回の記事では、それぞれの特徴と違いを整理していきます。

建築一式工事とは

建築一式工事は、建物全体の設計・施工・管理を一括して行う工事です。建設業法では、複数の工事を組み合わせて建物を完成させる工事が「一式工事」と分類されます。

  • 複数工種をまとめて施工
    建築一式工事には、大工工事、屋根工事、左官工事、内装工事など複数の工事が含まれ、建物全体の施工を統括します。
  • 工期や管理が重要
    工程管理、安全管理、複数工種の統括など、建物全体を完成させる能力が求められます。
  • 許可要件
    専任技術者として建築士や建築施工管理技士の資格が必要です。小規模な部分工事の経験だけでは許可は取得できません。

つまり、建築一式工事は単に作業をこなすだけでなく、建物全体を計画・管理できる能力が求められる工事だと言えます。

大工工事とは

大工工事は、建物の木造部分を専門的に施工する工事です。木材の加工や組み立てを通して、柱・梁・床・屋根などの構造を作ります。

  • 対象は木造部分
    木造建築の構造材や下地工事、造作工事が主な施工範囲です。
  • 単独工事も可能
    大工工事は単独で請け負うことができ、建築一式工事の一部としても位置づけられます。
  • 許可要件
    大工工事の専任技術者には、1級または2級建築施工管理技士(大工工事関連資格)が求められます。資格を持たない場合でも、建設業法で定められた一定の実務経験を満たすことで専任技術者として認められ、許可を取得できます。

このように、大工工事は木造部分に特化した専門工事であり、単独でも請け負える一方、建築一式工事の中で統括的に施工される一部工事としての位置付けもあります。

許可取得の際は、自社の施工範囲と技術者の資格・経験を正確に確認することが重要です。

両者の違いを整理

項目建築一式工事大工工事
対象工事複数工種を統合して建物を完成させる工事木造部分や構造材の加工・組立など単独の専門工事
工事範囲建物全体木造部分のみ
許可要件建築士または建築施工管理技士が必要大工施工管理技士や実務経験でも可
請負形態一括請負単独請負も可能
管理業務工程管理、安全管理、複数工種の統括主に施工・加工作業中心

建築一式工事は工事全体を統括する広範な業務であり、大工工事はその一部の専門工事として位置づけられます。大工工事だけでは建物全体の一式工事を請け負うことはできません。

注意点

  • 許可申請の際は、自社が請け負う工事範囲を明確にして申請することが重要です。
  • 建築一式工事の許可があっても、実際に自社で施工する工事の範囲や、下請けとの役割分担を正確に確認しておくことが重要です。許可範囲を超えた工事を請け負うと、法令違反となるおそれがあります。
  • 木造以外の建築(鉄骨造やRC造)では、建築一式工事の許可が必要で、大工工事の許可だけでは対応できません。

まとめ

建築一式工事と大工工事は、建物施工に関わる点では共通していますが、法的な位置づけや施工範囲に明確な違いがあります。

建築一式工事は建物全体を統括して施工する広範な業務で、専任技術者の資格や管理能力が求められます。一方、大工工事は木造部分の施工に特化しており、単独で請け負うことも可能です。

建設業許可を取得する際は、工事範囲と自社の施工能力を正確に把握し、法令に従った適切な申請を行うことが重要です。

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