建設業許可と経営事項審査(経審)の関係

建設業を営む際、まず必要となるのが建設業許可です。ただし、許可を取ったからといって公共工事にすぐ参加できるわけではありません。公共工事を目指すなら、あわせて必要となるのが「経営事項審査(経審)」です。両者は別の制度ですが、実務では密接に結びついています。本記事では、その関係や注意点を整理します。
建設業許可
建設業を営むうえで、一定規模以上の工事を請け負う際に必要となるのが建設業許可です。500万円以上の工事(建築一式は1,500万円以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事)を請け負う場合に必須とされています。
許可を取得すれば民間・公共を問わず工事を受注できますが、公共工事についてはさらに経審を受けなければ入札参加はできません。
経営事項審査(経審)とは
経審は、国や自治体が発注する公共工事に参加するための評価制度です。客観的な基準で業者の経営内容や技術力、社会性を数値化し、その点数に基づいて入札資格を付与します。評価項目は次のように大きく分かれます。
- 経営規模等評価(X・Z点):完成工事高、自己資本額、職員数など
- 経営状況分析(Y点):財務内容を専門機関が分析したスコア
- 技術力(W点):専任技術者の資格や工事経歴
- 社会性(加点・減点要素):社会保険加入状況、建設業法遵守、安全管理体制など
これらを合算した総合評点が、入札参加資格の基礎となります。
許可と経審の関係
両者の関係を簡単に整理すると以下のとおりです。
| 項目 | 建設業許可 | 経営事項審査 |
|---|---|---|
| 目的 | 建設業を営む基本資格 | 公共工事入札への参加資格 |
| 対象 | 500万円以上の工事を請け負う業者 | 公共工事を希望する業者 |
| 内容 | 技術者・財産要件・経営経験を審査 | 経営・財務・技術・社会性を点数化 |
| 結果 | 許可証の交付 | 総合評点の算出 |
| 実務上の位置づけ | 建設業のスタートライン | 公共工事のスタートライン |
このように、建設業許可があっても経審を受けなければ公共工事には進めません。逆に、経審だけを受けることもできず、必ず許可取得が前提になります。
中小業者にとっての経審
「経審は大手向け」と思われるかもしれませんが、実際には中小業者こそ無視できません。地方自治体では数百万円程度の小規模工事でも経審の結果を基準に業者を選定する場合があります。
特に近年は「社会保険の加入状況」が強く問われるようになっており、未加入の場合は単に加点が得られないだけでなく、入札参加資格そのものが認められない場合もあります。法令遵守や労務環境の整備は、工事規模に関わらず避けて通れません。
実務で注意すべきポイント
- 建設業許可の更新を忘れると経審も受けられない
- 経審は有効期間が1年7か月のため、実務上は年1回の申請が必要
- 財務諸表や納税証明書など、会計処理の正確さが点数に直結
- 社会保険の加入は必須で、安全衛生管理体制を整えることで評価が向上
- 技術者の資格取得や継続的な工事実績の積み重ねが有効
まとめ
建設業許可は、建設業を営むための基本資格です。しかし公共工事を目指す場合はそれだけでは不十分で、経営事項審査を受けて総合評点を確定させることが不可欠です。
経審は工事実績だけでなく、財務健全性や社会保険加入、技術者の資格といった幅広い要素を総合的に評価します。そのため、日々の経営管理やコンプライアンスの徹底が、最終的な点数と受注機会を左右します。
つまり、建設業許可が「入口」だとすれば、経審は「公共工事への入場券」といえるでしょう。両者の関係を正しく理解し、計画的に準備を進めることが、安定した受注につながります。

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