建設業許可における「誠実性」について

建設業許可を受けるためには、経営業務の管理責任者や専任技術者の設置といった人的要件、財産的基礎や欠格要件など、いくつもの基準を満たす必要があります。その中に「誠実性」という要件があります。
一見すると抽象的な言葉ですが、許可の可否を左右する重要な基準のひとつです。本記事では、建設業許可における「誠実性」とは何を意味するのか、具体的に整理していきます。
「誠実性」の法的根拠
建設業法第7条第5号には、建設業の許可を受けようとする者は「請負契約に関して誠実性を有する者」でなければならないと定められています。ここでいう「誠実性」とは、請負契約の履行にあたり、不正や不誠実な行為を行わない姿勢を意味します。単なる道徳的な誠実さではなく、建設業法上の具体的な判断基準に基づくものです。
誠実性が欠けるとされる具体例
「誠実性があるかどうか」は、過去の行為や取引履歴をもとに判断されます。国土交通省や各都道府県の運用基準では、以下のような場合に「誠実性を欠く」と判断されることがあります。
- 請負契約を結ぶ際に、相手方を欺く行為をした場合
- 契約内容を守らず、重大な債務不履行を繰り返した場合
- 建設業法や関連法令に違反する行為を行った場合
- 不正な手段によって建設業許可を取得しようとした場合
- 過去に営業停止や許可取消といった行政処分を受け、その原因が不誠実な行為にあった場合
これらは、建設業者として社会的信頼を大きく損なう行為であり、「誠実性がない」と評価されます。
なぜ「誠実性」が重視されるのか
建設業は公共工事を含め多くの利害関係者と関わる業種であり、契約不履行や不正行為が発生すると社会的な影響が極めて大きくなります。そこで、許可段階から「契約を誠実に履行できる業者かどうか」を確認する必要があります。
特に次のような理由から、誠実性の確保は不可欠とされています。
- 発注者との信頼関係を維持するため
- 公共工事における公正性と透明性を守るため
- 建設業界全体の健全な取引環境を維持するため
誠実性を欠いた業者が許可を受けてしまえば、発注者や下請業者に不利益を及ぼし、建設業への社会的信用そのものを失墜させる可能性があります。
誠実性の判断に影響する要素
実際の審査では、「誠実性があるかどうか」は次のような要素をもとに判断されます。
- 過去の行政処分歴:建設業法違反や下請代金支払遅延などの処分歴があるか
- 裁判例や債務不履行の事実:契約違反を繰り返していないか
- 会社役員や個人の経歴:役員に不正行為の経歴がないか
- 申請内容の正確性:虚偽申請や書類不備がないか
誠実性は一度欠けると、回復までに法律で期間が決まっているわけではありませんが、時間を要するため、日常的なコンプライアンス意識が欠かせません。
誠実性を維持するために取るべき対応
許可を取得したあとも、誠実性を維持することが求められます。実務上、次のような取り組みが有効です。
- 契約内容を遵守し、履行状況を記録・管理する
- 下請業者への代金支払いを期日通りに行う
- 法令改正や通達を常に確認し、違反を防止する体制を整える
- 社内でコンプライアンス教育を行い、従業員に周知徹底する
- 行政指導や是正勧告を受けた場合は速やかに対応する
これらを徹底することで、誠実性を維持し続けることが可能になります。
まとめ
建設業許可における「誠実性」とは、請負契約を適正に履行し、不正や不誠実な行為を行わない姿勢を指します。法律上の形式要件ではなく、実際の業務運営や過去の取引履歴から判断される点に特徴があります。
もし誠実性を欠くと判断されれば、許可の取得や更新に大きな支障が生じるため、日常業務においても法令遵守を徹底することが不可欠です。発注者や元請、下請との信頼を築くためにも、建設業者は「誠実性」を意識した経営を継続することが求められます。

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